ちゃんいまの、きょうコレにハッとしました!

きょうハッとしたことを記録するブログです

荒木経惟『写狂老人』『センチメンタルな旅・冬の旅』:その日常に潜んでいる、とても複雑で深いもの。

その写真集を最初に見たのは、10年以上前だと思う。

こわかった。

こわくて、切なくて、あの時わたしは少し泣いたと思う。

 

 

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先日、「荒木経惟 写狂老人A』を観に行った。 

いろんな写真が並べられていた。

人妻の裸、とある一日をただただ写したもの、街、家の置物、道路、相楽樹

戦後の日本でたくましく生きたであろう商人のおっちゃん

 

たくさんの過去の写真集も閲覧可能になっていた。

 

その中で一番印象に残ったのが『陽子ノ命日』だった。

それは、荒木さんの妻・陽子さんの命日に撮られた写真集だった。

 

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この写真集を見たとき、わたし、本当にハッとしたんですよ。

なんてことはない道路、信号待ちをする人、家の中、空、横断歩道、道路を歩く人、ひと、

それが『陽子ノ命日』というレイヤーを通すだけで、こんなにも世界の見え方が変わるのかって。

『陽子ノ命日』というレイヤーは、私に様々な感情を引き出させた。

 

冒頭の写真集『センチメンタルな冬の旅』がすぐに思い浮かんだ。

なんだかこれを見ないとブログに書けないと思ってもしまって、次の日、写真集を買っていた。

 

 

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その写真集には、陽子さんがうつり、チロがうつり、ベランダがうつり、荒木さんがうつり

今度は、その日常には「陽子の死」というレイヤーが被さっていた。

 

ちょうどその時西加奈子さんの小説『舞台』を読んでいて、それがめちゃめちゃ面白くて

小説ってどれもだいたいそうだと思うけど、一文一文のその小さな積み重ねので

いつのまにか小説が進んでいるではないですか!!それって本当にすごいなって思って

恥ずかしながらそれがどうやったらできるんだろうって思って

もしかしたらこの「物語を構成するレイヤー」という考え方で、何か糸口が見つけられるかもしれないって

思ったんですよね。

  

vimeo.com

 

きっと十年前の私には、子宮肉腫で亡くなる陽子さんと共に時間が進むこの写真集がこわかった。

でも、目が離せなくって、怖いのに、最後までみた。

最後まで見続けられた理由は、あの時は気づかなかったけれど、きっとこの写真集が愛で溢れかえっていたからだ。

今の私はそのものすごい愛に気づいてしまって、もう涙が実は止まりません。

 

 

展覧会に行った時も全然気付けなかった。今気付いた。

『陽子ノ命日』にも、『センチメンタルな旅・冬の旅』も本当に本当に潜んでいたのは愛でした。

 

 

あぁ、ハっとしたきさ、何かわかるかもしれないなんて思ったけど、物語ってやっぱり複雑で深くて難しい。

 

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